たくさんのノコギリクワガタの幼虫を同じケースで育てたい!
クワガタムシの幼虫は集団飼育をすると、共食いなどをするからとの理由で、ほとんど行われていません。
では、ノコギリクワガタではどうなるのでしょうか?
複数の幼虫を飼育ケース中に入れて果たして共食いが起きるのか、すべて育つのかどうか。飼育実験してみました。
飼育虫 |
産地:愛知県
種親:野外採集♀30mm
体重計測:無し
雌雄判別:無し
幼虫数:24
野外採集♀30mmを7月に「かんたん産卵セット」で飼育後、得られた幼虫達です。 |
飼育環境 |
飼育温度:15℃〜28℃
飼育期間:約1年 飼育ケース:中型ケース
飼育マット:アンテマット(ごく普通の市販品)
飼育マット交換時期:1回目秋11月 2回目春5月 |
羽化確認
1ヵ月後 |
2008年08月31日
卵を確認してから、約1年たちました。
ほぼ羽化を確認したのち、ケースを調べました。
すべての幼虫が、無事羽化していました。
◆共食いについて
エサの量が、十分あれば共食いしない。
共食いは、ぜんぜん無くすべて成虫になりました。
◆蛹室の位置
ケースの淵を利用した蛹室ばかりで、ケース中央には、ほとんど蛹室を作っていませんでした。
先に蛹になる♀や小型の♂が、ケース底を占領してしまったようです。(赤色矢印)
面白いことに後から蛹になる♂は、他の蛹室を壊すようなことは、していません。
蛹になる十分なスペースがあればいいようです。
すべて♀達の蛹室の少し上(3cmぐらい)のところに作っていました。(黄色矢印)
◆羽化の時期
♂♀とも約2週間程度のズレのみで、羽化時期はほとんど同時と見ていいようです。 |
生体確認 |
偶然だと思いますが、♂12匹、♀12匹ときれいに半分半分に分かれました。
♂♀共に羽化不全などなく、すべて完品状態で羽化してくれました。
なんと♂には、結構大歯型の個体がいますし、スタイルも悪くないですね。 |
計測 |
◆大きさ
♂の最大が、57mm
♂は、あまり大きくならない。
やはり、幼虫同士、牽制しあうようである種の緊張感があるようです。落ち着いてエサを食べることが出来ないのでしょう。
それに、マット上をワンダリングした後がありました。
蛹室を作る場所を探したのかもしれません。
♀の最大が32mm
♀は、30〜32mmとほぼ安定した大きさになりました。 ♀は、以外にも十分成長する。
600ccビンで単独飼育のときと、あまり変わりません。
大きな♀(35mm以上)にしたいときは、単独に飼育したほうが、いいようです。 |
ノコギリクワガタの幼虫も同じケースで飼育できます!
結論 |
ご家庭で飼育される場合も、カブトムシと同じように複数飼育することが出来るようです。
特に難しいことは、していません。
大型の♂にするには、やはり単独飼育しないといけないようですね。
♀は、集団飼育でもまったく問題ないようです。
◆注意点
乾燥に十分注意します。
マットの上面から、乾燥してきますので1ヶ月〜2ヶ月に1度ぐらい水分を補給します。 |
考察 |
◆蛹室の位置
蛹室の位置に注目したいと思います。
自然界では、ある程度まとまった数の幼虫が、一定範囲の中で生息しているはずですから、
「先に蛹になろうとする個体が、地中の深い所で蛹になり、後から蛹になる個体がその上で蛹になる。」
と、予想できます。
ノコギリクワガタは、ほとんどの個体がビンの底に蛹室を作りますので、この性質を使えば、♂の羽化不全を防ぐことが出来るということは容易に解ります。
ビンの中段に蛹室を作ってくれれば、ほとんど無事に羽化してくれますので。
十分、成長した幼虫を♂♀ペアで飼育ビンに入れたら、うまく行くような気がします。
◆休眠をコントロール?
「深い所で蛹になった個体は、活動開始したくても上の個体の蛹室を壊してしまう為、活動しないで休眠に入ってしまう。」
こんな、仮定が成り立つとしたら、「リュウキュウノコギリクワガタなど南部離島産のノコギリクワガタが羽化後、1ヶ月程度で活動開始する。」というこの性質を抑制できないかと思いました。
南部離島産のノコギリクワガタは、7月以前に羽化すると3週間〜1ヶ月程度で活動開始する個体が出てきてしまいます。
この早期に活動開始した個体は、休眠した個体よりもさらに短命なものが、多いような気がしています。
これは、飼育していく上で、非常にこまります。
♂は、活動開始、♀は休眠、又はその逆では、次世代の飼育が出来なくなってしまいます。
♂♀ペアで同じ飼育ビンで羽化させることが出来たら、♂♀ともに相手の蛹室を壊さないように活動開始を遅くするのではないかと思います。
これも今後、飼育実験をしてみたいと思っています。 |
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